逆算で考える食品からの内部被曝 [放射能]

 前回まで汚染土壌の直接摂取と再浮遊粉塵の吸引被曝を大雑把に計算してきました。
 最後に 食べ物についての内部被曝を 考えてみます。

 食品からの内部被曝については 様々な方が良い情報を発信していらっしゃいます。


 勝川俊雄 公式サイト
 http://katukawa.com/

 食品からの内部被曝に関する参考値(水琴さんのブログより)
 http://yawa.blog.so-net.ne.jp/2011-05-21


 役に立つ知識については そちらをご参考にいただけるとよろしいかと思います。


1、まずは下準備

 最初に 暫定基準値の元になった核種の比率を見てみましょう。

 食品の中のストロンチウム量は 今のところ 信頼できるデータがまったくありませんので、ちょっと大き目かもしれませんが 食品安全委員会の比率を使います。
 今、日本で調べられているのはセシウム134と137だけですが、ストロンチウムのオマケもついてきていると考えます。

 基準値の導出に使われたのはもっと細かい数字なのですが、電卓でも計算しやすいように 数字を丸めてあります。

 

存在比

実効線量換算係数
(成人・mSv/Bq)

セシウム134 0.5 1.9E-5
セシウム137 0.5 1.4E-5
ストロンチウム89 0.3 2.6E-6
ストロンチウム90 0.05 2.8E-5



 この数字で計算すると…

 セシウムを1ベクレル食べてしまうと、0.3Bqのストロンチウム89と 0.05Bqのストロンチウム90がオマケで付いてきていると見込みます。

 要らないのについてくるストロンチウムまで計算すると、セシウムを1Bq食べてしまうと1.868X10-5mSvの被曝になります。

 これを元に 内部被曝の目標ごとに どんな対策が必要なのか 計算機を叩いてみましょう。


1、年1mSvまで 内部被曝を許容する場合

 暫定基準値の基本となっている5分の1の水準ですが、どのくらいのセシウムを食べたら1mSvになるのでしょうか。

 上の試算 セシウム134とセシウム137の合算で 1Bq食べてしまうと1.868X10-5mSv。

 1mSvになるのは 53533Bqを1年間に食べてしまった場合です。

 これを365で割ると 1日当たり146.7Bq入ってしまったことになります。

 1日に成人が口にする食料は 約1.5Kg。

 平均すると 97.8Bq/kgの食料を 毎日食べ続ける1mSvに達することになるのです。


 さて、このところの食品汚染の具合は 厚生労働省のページで調べることが出来ます。
 東都生協さんの資料も 小さい数字まで生のデータを出しているので非常に参考になります。

 最近の公表数字を信じる限り、セシウム134と137の合計が 100Bq/kgに達している食品は多くありません。
 福島や茨城の魚とか シイタケや竹の子などだけのようです。

 検査の頻度や流通食品の多さを考えると もっともっと高い濃度で汚染された食品が出回っていると思うべきですが、色々な食材を偏りなく食べていれば 平均では極端に高い数字にはならないでしょう。

 今のところは お店に並んでいる食品を無差別に食べていっても、普通の食習慣をお持ちなら 1mSvには達しないものと予想いたします。



2、年100μSvを切りたい場合

 年100μSvを切ろうと狙う場合、上の数字を10分の1にしなければなりません。

 1年当たりのセシウムは5353.3Bqで一日になおすと14.7ベクレル、平均9.78Bq/kg以下の食品を買っていく必要があります。
 (とりあえず 調理による減少分は無視します)

 厚生労働省の発表を見ると、野菜のほとんどは未検出になっていますので 簡単そうに見えますが、公式発表だけでは検出限界がどのくらいなのか分かりません。

 各県の発表を見ていくと 小数点以下の細かい数字を出しているところと、二桁の数字はあるけれど一桁の数字がないところに分かれます。
 千葉の水道水の発表では10Bqを検出限界として、それ以下を「未検出」としていた前例があります。
 発表で未検出となっていてもゼロではなく、一桁ベクレルは覚悟しなければなりません

 必然的に、未検出の食品だけを食べていっても最悪の場合100μSvの被曝を覚悟しなければならないでしょう。
 外国や西日本や北海道の産品を可能な限り選ぶにしても、東日本の作物を口に入れないワケにもいきません。

 もちろん、発表で二桁ベクレル含まれている食材は極力口にしない。
 三桁ベクレルの食品は 加工食品の原料まで注意して絶対排除くらいの覚悟でいかないと 確実に100μSvを切っているという確信を持つのは難しそうです。

 今年の夏以降、新米が出回るようになったら 更に注意が必要でしょう。



3、更に下を狙う場合

 更に下で 二桁マイクロシーベルトも下の方を狙うとなると、相当に食材吟味をしないと難しい印象です。
 平均で1ベクレル/kgを切る食品だけ食べていけばよいのですが、柏に住んでいて可能なこととは思いにくい。

 現実的には 外国産品と西日本の食品で固めて、最終的に平均5Bq/Kg・年間50μSvあたりを狙うのがミニマムでしょうか。

 もちろん、外食は完全に止める必要があります。
 普段 どんなに気をつけていても 500ベクレル入っただけで あっという間に10マイクロシーベルト。
 平均して10ベクレル/kg(検出限界なみ)の食事を毎日お昼に食べていったら 1年間で1200ベクレル 口に入ってしまいます。

 難関は 加工食品に紛れ込んでしまう危険食材でしょうか。
 混ざってしまっては 識別するのが困難ですし、産地も分かりませんからね。


4、ちょっと結論

 この7月からの1年間で、新米が出回るまでのお話ですが…

 ・ 年1mSvの内部被曝(年間約50000ベクレル)を許容できるなら 相当自由に食べられる。
 ・ 食材に気を使うなら100μSv(年間約5000ベクレル)を切るのが目標。
 ・ 今となっては10μSv(年間約500ベクレル)は遠い夢か


 という訳で、気をつけて食生活をしている人だと 100μSv前後、気にせず食生活をエンジョイする方針の人でも1mSvには届かない感じでしょうか。
 普通に生活していれば その間のどこかになるでしょう。
 そこから下 10μSvに近づけようと思ったら 相当徹底的な対策が必要と思います。

 私は 100μSvを切りたいと思っているのですが、外食があるので ちょっと無理かもしれません。
 それにしても 今年の新米にどれだけセシウムが入ってしまうのかで 対策の難易度が分かれそうです。



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